少しだけ早い朝の道に 水が撒かれている
晴れた日のコンクリートの濡れた匂い
一日に2回この道を ぼくは自転車で走り過ぎる
散らばった気持ちをひとつにまとめて
それを ぼくはきみに見せようとしている
同じ言葉が何度も何度も 口から吐き出されて
ぼくは風景を ひとつひとつ手に入れていった
きみのことを うまく思い出せなくても
ぼくは今 電車の高架上に立って
遠くて近い夕日に笑いかける
空がいつも同じように 晴れているように思えた
同じうた何度もうたって ぼくは暮らしている
ぼくがぼく自身で これがほんとうだと思えることを
心の中から離れていかないように
毎日 眠っては起きるよ
河川敷から見える建ち並ぶ建物は
知らない建物ばかりで
今 ぼくがどこにいるかなんて 説明できなくなる
でも その必要もなくなってくるんだろう
ほら 水門も近づく
晩ごはんの匂いもしてくる