きみの住む街を

電車で通り過ぎた時もあった

時の流れに感覚が動かなくなった時

ぼくは まっさらな

漠然とした

記憶の風景を見るのだ

 

何度も声をかけようと思った

何度も笑ってみせようと思った

手を上げたその先には

いつも 泣きたくなるような

風が吹いていた

 

風景が流れていく

ぼくは風を切っている

今していることじゃないこと

何度もしようと思ったこと

 

きみの気持ちはわからない

きみがぼくの気持ちをわからないように

ただ 揺るがない心

きみの中にある

揺るがない心のように

 

流れていく風景の中に

きみの住む街があった

時の流れは

もう ぼくを 気にしてはいない

ぼくが夢を見ていると

思っているうちは