ぼくは夜を通り過ぎて
匂いにも気づかない
ぽたっと空が重みを含んで
ぼくをいつまでも待っているのに

きみに会いたい
ぼくらの街の匂いをかぎたい
いつまでも ぼくは
何度も同じこと思い出す
ただ ほんとうに ちゃんと
過ぎていくものなんだなと思った

ぼくは自分の呼吸に気づく
ぼくの息づかいが
ぼくの耳に届いてくる

湿り気のある夜が
ぼくをいつまでも包み込んでくれるのに
空の水分が ぜんぶ降りた夜は
きみに会いたい
ぼくらの街の匂いがするから