水たまりを見つめて
ぼくは愛おしさを思い出している
いつのまにか
大丈夫になっていた気持ちの中に
空が揺れている
もう 随分
いろんなことが過ぎていった

ぼくのアタマをあたためつづけた熱と
大きく肺に吸い込んだ風が
ぼくに呼吸をさせている
足下で水が蒸発している
その中から春の匂いがしてくる

壁に映った影で 自分の髪型を見る
坂道を下りてくる自転車の人
風を切って気持ち良さそう

ゆっくりとその季節を思い出す
同じ長さに腕を伸ばして