9月の空を見上げる
ドンが飛び去っていったあとのような空だ
夏をいっぱい吸いこんで
ふくれあがった胸も愛おしい
ぼくはなにか うたをうたいたくなるけど
なんのうたも浮かんでこない
いつもそうなんだ こんな時は
そんなぼくと
ずっと一緒に居たかった

きみがノックをする度に
ぼくはイヤなカオをしていたんだな
空が晴れ上がれば
いつもそこに ドンの姿をさがした
そこへぼくを誘いだしてくれるのを 待っていた
高い空に 風が走っていく
高いマンションの ベランダのせんたくものを揺らして

ぼくはいつも
これが最後なんじゃないかって思う
気持ちはどんどん走っていって
いつのまにか
ぼくはそれに 追いつこうとして生きていた
きみが ぼくを見ているんだろうって思って
ぼくはきみを見ていた
きみの言ったことが あまりにもそのままで
ぼくはそのまま 笑って泣いた

きみは それは風だと言う
ぼくが目を閉じている間に
ずっとずっと 遠くへ行ってしまった
空気が だんだん冷たくなれば
ぼくはそれを 心に思うだろう
下へ下へ 体が落ちていく度に
こんなにも 胸が苦しくなれる