電車で多摩川を渡って

きみに許されていないことを思っていた

だけどぼくは もう あまり思い出せないんだ

勝手にずっとやっている

 

誰に嫌われようと

勝手にずっとやっている

いい時もあったと思う

きみと一緒に歩いていたこと 覚えている

日がゆっくり傾いていって

きみと同じものを見ていたこと 覚えている

 

だけど もう

何もできないんだ

突っ立ったまま

為す術がないんだ

記憶を辿ること

そこに気持ちを置くこと

それも もう できないんだ

 

電車の中で

多摩川を渡っていくのを見ている

目の前を通り過ぎていくのを 見ている