ぼくはもっとはやく きみのもとへ行きたかったけど
今のぼくからきみへの道のりは 少し長くあった
青白い まだ朝になりきらない川の側で
きみは ぼくを待っているだろう
きみの顔がはやく見たい
きみの目が ぼくの目を見る
あの たまらなく幸福な瞬間を
ぼくの白い息が空に上った
素晴らしい冷えた空気が体を包む
きみの白い肌を 風が撫でている
コートとマフラーを身にまとい
ぼくらはまた 出会い笑いあう
朝の匂いの中に煙草を吹かし
ふたつの匂いを同時に吸いこんだ

路地裏でぼくは夢を見ていた
うまく動かない体が腹立たしく
力を持て余した
見た夢は 決して形になって現れないような気がした

いつか消えることなんて
考えたことはない
きみへの道を ぼくは何度も往復する
遠い川の朝を
きみの目が ぼくの目を見る
あの たまらなく幸福な瞬間を